事業所得の計算上、総収入から差し引くべき費用は必要経費に限ります。
法人の場合は、事業を目的として設立されたので、一応、すべて事業目的の遂行上支出したものとみなされますが、
個人の場合は、事業目的と家事目的の2面性があるので、その支出が必要経費か否かの判断が必要になるのです。
よく質問されるのは、何々の支出は経費として落とせますかということです。
そこで、事業に必要なものは経費となりますとお答えしています。
しかし、その答えはかなり抽象的です。
昨年の9月に東京高裁の判決がありましたので必要経費について検討してみましょう。
弁護士が弁護士会の役員等として懇親会費等を支出したが、これは必要経費かどうかが争われた事案です。
東京地裁(一審)の判決では、必要経費は「当該事業の業務と直接関係をもち、かつ、専ら事業の遂行上必要と
言えるかによって判断すべきである」とし、懇親会費等は否認されました。
ところが、東京高裁(二審)では必要経費は「事業の業務と直接関係することを要せず、間接的にも業務の遂行上
必要であること」として、弁護士会等の役員等の業務の遂行上必要な支出であれば、その弁護士としての事業所得の
必要経費に該当すると判じました。
ただし、高裁は、二次会への出席は業務の遂行上必要であるかを明らかに区分することができると認めるに足りる
証拠はないとして、個人的な支出であるとしました。
裁判官のおかたい頭では二次会は余分な支出としか映らないのでしょうか。