相続税の増税

2013/12/13

税務TOPIX 相続税の増税

消費税の増税が本日発表される予定ですが、平成25年度の税制改正で平成27年1月より相続税の引上げが決まっています。消費税は低所得者層に負担感が重いのですが、それと衡平をとるように、相続税は中高所得者層に一層の負担を求めるものとなります。

相続税の納税者は現在亡くなった人の約4%(5万人)ですが改正により約6%(7万人)に増加する見込みです。
改正点の主なものは基礎控除の引き下げと最高税率の引き上げです。

1.基礎控除の引き下げ

バブル期の地価高騰による相続財産の価格上昇に対応して負担調整を行うために基礎控除が引き上げられていましたが、平成になって地価が下落を続けているため、地価動向を踏まえた水準調整をして課税ベースの拡大を図ったものです。
標準所帯で夫が亡くなり、妻と子2人が遺産を相続する場合、改正前は8,000万円まで相続税はかかりませんでしたが、今回の改正後では4,800万円までとなり、それ以上なら課税されることになってしまいます。

例として、遺産が1億円の場合、改正前の課税対象は2,000万円に対して、改正後は5,200万円となり、相続税は100万円から315万円となります。

 

2.最高税率の引き上げ

相続税の税率構造が6段階から8段階となり、2億円超が40%から45%、6億円超が50%から55%となります。

相続税対策は、生前に時間をかけた対策が大事です。
特に遺産の大部分が不動産の場合、納税のため売却せざるを得なくなってしまいます。
今回の改正では孫や子に1,500万円の教育資金の一括贈与や、若年層への贈与の税率の緩和、相続時精算課税の贈与者の年齢の引き下げと孫にまで拡充など贈与税が緩和されています。
経済の活性化のために、財産を保有している高齢者から、若年層へ早期に資金を移転させて消費を活発にする狙いがあります。
これらを利用することも相続対策になります。

公認会計士 魚住 正治

 

STAFFコラム 「足立美術館」

全国各地にある美術館の中で、日本庭園を一幅の名画にした美術館があります。島根県安来市にある「足立美術館」です。
少し足を延ばして行ってきました。所蔵する絵画は、横山大観、上村松園など名だたるものばかり。
それらの絵画もさることながら、庭園の美しさは秀逸であります。
それもそのはず。米国の日本庭園専門雑誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』が行っている日本庭園ランキング、10年連続1位を獲得しているのです。創設者である足立全康が、全国を歩いて探した庭石や松の木で彩られた庭園は、「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」など6つに分かれ、面積5万坪に及びます。建物内から窓を通して見た景色は、窓枠が額縁のようでまさに名画。その他、縦長に壁をくり抜き、掛け軸を見るかの如く庭園を眺望できる部屋など工夫をこらした館内は飽きません。
最後は北大路魯山人の器を見納め、胸を刺す魯山人の言葉を後に足立美術館を出ました。

―低級な食器に甘んじているものは、それだけの料理しかなしえない
この料理で育てられた人間は、またそれだけの人間しか生まれない―

四季折々の美しさが楽しめる足立美術館。次は冬に行ってみたいと思います。